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医療法人社団 湯川会

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気管支喘息

気管支喘息とは

気管支喘息とは、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こり、さまざまな刺激によって気道が狭くなることで、咳や息切れ、ヒューヒュー・ゼーゼー(喘鳴)などの症状を繰り返す病気です。子どもから大人まで幅広い年代でみられます。

喘息の方は、気道が健康な人よりも敏感な状態(気道過敏性)になっているため、ダニやハウスダストなどのアレルゲンのほか、風邪などの感染症、運動、気温の変化、タバコの煙などをきっかけに症状が現れたり悪化したりします。

症状がない時でも気道の炎症は続いていることがあり、適切な治療を継続することで発作を予防し、症状をコントロールすることが期待できます。

気管支喘息は適切な治療を続けることで、多くの方が症状をコントロールし、日常生活を支障なく送ることが期待できます。咳や息切れ、ゼーゼーする症状が続く場合は、お早めにご相談ください。

吸入

このようなお悩みはありませんか?

●咳が長引いている(3週間以上続く)
●夜間や早朝に咳や息苦しさで目が覚める
●ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音(喘鳴)がする
●息苦しさや胸の圧迫感がある
●運動すると咳や息苦しさが出る
●風邪をひくたびに咳が長引く、ゼーゼーする
●季節の変わり目や花粉の時期に症状が悪化する
●タバコの煙や香水、線香などのにおいで咳が出る
●アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎がある
●ご家族に喘息やアレルギー疾患の方がいる
●お子さま:風邪をひくたびにゼーゼーを繰り返す、夜間や明け方に咳が続くといった症状

気管支喘息の原因

気管支喘息は、一つの原因だけで発症する病気ではありません。体質(遺伝的要因)と生活環境(環境要因)が重なり、気道に慢性的な炎症が起こることで発症すると考えられています。

症状を引き起こしたり悪化させたりするきっかけには、次のようなものがあります。

アレルギー

ダニやハウスダスト、花粉、カビ、ペットの毛などが原因となり、気道にアレルギー反応が起こることで喘息を発症・悪化することがあります。

感染症

風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症は、喘息発作のきっかけとなることがあります。特にお子さまでは、風邪をひくたびに咳やゼーゼーを繰り返すことも少なくありません。

タバコの煙・大気汚染

喫煙はもちろん、受動喫煙や大気汚染、排気ガスなども気道を刺激し、症状の悪化につながることがあります。

気候や生活環境

気温や湿度の変化、運動、ストレス、香水や線香などの強いにおいなども、喘息発作の誘因となることがあります。

遺伝的要因

ご家族に喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある場合は、喘息を発症しやすい傾向があります。

子どもの喘息と大人の喘息の違い

気管支喘息は子どもから大人まで発症する病気ですが、発症のきっかけや症状の現れ方、経過には違いがあります。

子どもの喘息

子どもの喘息は、ダニやハウスダストなどのアレルギーが関係していることが多く、風邪などの感染症をきっかけに症状が現れたり悪化したりします。

「ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)がある」「夜間や早朝に咳が続く」「運動すると咳が出る」「風邪をひくたびに咳やゼーゼーを繰り返す」といった症状がみられる場合は、小児喘息の可能性があります。

成長とともに症状が改善するお子さんもいますが、大人になっても症状が続いたり、一度改善しても再び現れたりすることがあります。

大人の喘息

大人の喘息は、子どもの頃から喘息が続いている場合だけでなく、大人になって初めて発症することも少なくありません。

アレルギーに加え、喫煙や大気汚染、感染症、ストレスなどが発症や悪化のきっかけとなることがあります。また、「風邪は治ったのに咳だけが長引く」「夜間や明け方だけ咳が出る」といった症状から喘息が見つかることもあります。

咳喘息とは

咳喘息とは、咳が主な症状として現れる喘息の一種です。気管支喘息のようなヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音(喘鳴)や強い息苦しさはみられないことが多く、咳だけが3週間以上続くことが特徴です。

特に、夜間や早朝、会話中、運動後、冷たい空気を吸った時などに咳が出やすく、風邪が治った後も咳だけが長引く場合は、咳喘息の可能性があります。

咳喘息も気道に慢性的な炎症が起こっている状態であり、適切な治療が必要です。放置すると、一部の方では気管支喘息へ移行することがあるため、咳が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。

咳

気管支喘息を放置するとどうなる?

気管支喘息は、症状が落ち着いている時でも気道の炎症が続いていることがあります。治療を受けずに放置したり、自己判断で治療を中断したりすると、発作を繰り返し、病状が悪化する可能性があります。

喘息発作を繰り返すようになる

気道の炎症が続くと、ちょっとした刺激でも発作が起こりやすくなります。咳や息苦しさ、ヒューヒュー・ゼーゼーといった症状が頻繁に現れ、日常生活や睡眠に支障をきたすことがあります。

気道の変化が進行する(気道リモデリング)

炎症が長期間続くと、気道の壁が厚く硬くなる「気道リモデリング」が起こることがあります。

気道リモデリングが進行すると、気道が狭い状態が続きやすくなり、治療を行っても元の状態まで改善しにくくなる場合があります。そのため、症状が軽いうちから適切な治療を続けることが大切です。

気管支喘息の増悪

重い発作を起こすことがある

喘息発作が重症化すると、呼吸が十分にできなくなり、救急外来の受診や入院が必要になることがあります。まれではありますが、命に関わる重篤な発作につながることもあります。

咳や息切れ、ゼーゼーする症状を繰り返す場合は、「そのうち治る」と様子を見ず、早めに医療機関を受診しましょう。

気管支喘息の検査

気管支喘息は、症状や診察所見に加え、呼吸機能や気道の炎症の状態などを総合的に評価して診断します。また、喘息と似た症状を示す他の病気との鑑別も重要です。患者さんの年齢や症状に応じて、必要な検査を行います。

問診・聴診

症状が現れる時間帯や頻度、発作のきっかけ、アレルギーの有無、喫煙歴、ご家族の病歴などを詳しく確認します。また、聴診器を用いて呼吸音を確認し、ヒューヒュー・ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)の有無を調べます。

呼吸機能検査(スパイロメトリー)

息を大きく吸って一気に吐き出し、肺活量や空気を吐き出す速さを測定する検査です。気道の狭さや呼吸機能を評価し、喘息の診断や治療効果の判定に役立ちます。

血液検査

好酸球数やIgE抗体などを調べることで、アレルギーの有無や炎症の状態を確認します。また、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を調べる検査を行うこともあります。

胸部レントゲン検査

喘息そのものを診断する検査ではありませんが、肺炎やCOPDなど、喘息と似た症状を引き起こす病気がないかを確認するために行います。必要に応じて胸部CT検査を行う場合もあります。

気管支喘息の治療

気管支喘息の治療では、気道の炎症を抑え、発作を予防することが最も重要です。症状がある時だけでなく、症状がない時も適切な治療を継続することで、発作を起こしにくい状態を維持することができます。

長期管理薬、発作治療薬ともに様々な製品がありますので、患者さんお一人おひとりに合わせてベストなものを医師が判断し、組み合わせて処方し、定期的にフォローする中で使用する量や頻度を調整していきます。

吸入

長期管理薬(コントローラー)

長期管理薬(コントローラー)は、咳や息苦しさなどの症状を予防し、気道の炎症を抑えるために毎日使用する薬です。治療の中心となるのは吸入ステロイド薬で、必要に応じて気管支を広げる吸入薬や内服薬を組み合わせて使用します。重症の喘息では、生物学的製剤による治療を行う場合もあります。

症状が改善しても気道の炎症は残っていることがあるため、自己判断で治療を中止せず、医師の指示に従って継続することが大切です。

発作治療薬(リリーバー)

発作治療薬(リリーバー)は、咳や息苦しさ、喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼー)などの発作が起きた時に症状を速やかに和らげる薬です。

主に短時間作用性β₂刺激薬(SABA)の吸入薬が使用されますが、症状によっては貼付薬や内服薬を使用することもあります。また、発作が重い場合には、副腎皮質ステロイド薬の内服や点滴による治療が必要になることもあります。

発作治療薬はあくまでも症状を抑えるための薬であり、気道の炎症そのものを改善するものではありません。発作治療薬を使用する機会が増えてきた場合は、長期管理薬による治療の見直しが必要なサインですので、お早めにご相談ください。

生物学的製剤について

生物学的製剤は、通常の吸入薬や内服薬による治療でも十分な効果が得られない重症の気管支喘息に対して行われる治療です。

喘息では、アレルギーや気道の炎症に関わるさまざまな物質が症状を引き起こしています。生物学的製剤は、これらの炎症に関わる特定の物質や働きを標的として抑えることで、発作の予防や症状の改善を目指します。

 

現在は、ゾレア®、ヌーカラ®、ファセンラ®、デュピクセント®、テゼスパイア®などの生物学的製剤が使用可能で、患者さんの喘息のタイプや病状に応じて適切な薬剤を選択します。

当院では、生物学的製剤による治療にも対応しています。通常の治療で症状が十分に改善しない方や、発作を繰り返してお困りの方は、お気軽にご相談ください。

気管支喘息 よくある質問

Q

気管支喘息は治りますか?

A

気管支喘息は気道に慢性的な炎症が起こる病気であり、完全に治るとは言い切れません。しかし、適切な治療を継続することで症状をコントロールし、発作のない日常生活を送ることが期待できます。

Q

症状がなくなったら薬をやめてもよいですか?

A

症状がなくても気道の炎症は続いていることがあり、治療を中断すると再び発作が起こることがあります。薬の減量や中止は、医師と相談しながら進めましょう。

Q

咳だけでも気管支喘息の可能性がありますか?

A

はい。咳だけが長く続く「咳喘息」の場合もあります。風邪が治った後も咳が3週間以上続く、夜間や早朝に咳が悪化する場合は、咳喘息や気管支喘息の可能性がありますので、お早めにご相談ください。

Q

子どもがゼーゼーしています。喘息でしょうか?

A

子どもがゼーゼーしている場合、喘息の可能性もありますが、風邪による気管支炎やRSウイルス感染症など他の病気の可能性もあります。風邪のたびにゼーゼーを繰り返す、夜間や早朝に咳が続く場合は、喘息の可能性があります。気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。

Q

大人になってから気管支喘息になることはありますか?

A

はい。気管支喘息は子どもだけでなく、大人になって初めて発症することもあります。長引く咳や夜間・早朝の咳、息苦しさなどがある場合は、早めの受診をおすすめします。

Q

子どもの喘息は大人になれば治りますか?

A

お子さまの喘息は、成長とともに症状が落ち着くことがあります。しかし、大人になって再発したり、症状が続いたりすることもあるため、症状がある間は適切な治療を継続することが大切です。

Q

運動をしても大丈夫ですか?

A

喘息が十分にコントロールされていれば、多くの場合は運動が可能です。ただし、運動によって症状が出る場合は、事前に吸入薬を使用するなどの対策が必要になることがあります。運動について不安がある方は、お気軽にご相談ください。

Q

生物学的製剤はどのような人が対象ですか?

A

生物学的製剤は、通常の吸入薬や内服薬による治療でも十分な効果が得られない重症の気管支喘息の方が対象となります。患者さんの喘息のタイプや病状を詳しく評価したうえで、適応があるかを判断します。

Q

子どもでも吸入薬は使えますか?

A

はい。年齢に応じて吸入器や補助器具(スペーサー)を使用することで、小さなお子さまでも吸入治療を行うことができます。

Q

咳吸入ステロイドを続けると身長に影響はありますか?

A

吸入ステロイド薬は、気管支喘息の治療の基本となる薬です。

成長期のお子さまでは、治療開始から1~2年程度は身長の伸びが年間約0.5~1cm程度ゆるやかになる可能性が報告されています。しかし、その影響は一般的に小さく、多くの場合、その後の成長とともに差は小さくなります。

一方で、喘息の症状が十分にコントロールされないと、発作を繰り返したり、睡眠不足や運動制限が生じたりすることで、お子さまの健やかな成長や日常生活に影響を及ぼすことがあります。

そのため、現在のガイドラインでも、適切な量の吸入ステロイド薬を継続して使用することによるメリットの方が大きいとされています。

当院では、お子さまの症状や成長の様子を確認しながら、必要最小限の薬で治療を行っています。ご不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

参考文献
  • 日本喘息学会:喘息診療実践ガイドライン2024(JGL2024). 協和企画.

  • 日本小児アレルギー学会: 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2023 (JPGL2023). 協和企画.

  • Global Initiative for Asthma (GINA). Global Strategy for Asthma Management and Prevention, 2025.

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執筆・監修
湯川医院 院長 田上 玲奈
  • 日本内科学会 総合内科専門医

  • 日本医師会 認定産業医

  • 認知症サポート医

本ページは、当院の診療方針および医学的知見に基づいて作成し、掲載内容は当院の医師が確認のうえ公開しています。

公開日:2026年10月1日​

最終更新日: 2026年10月1日​

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