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食物アレルギー

食物アレルギーとは

食物アレルギーとは、本来は体に害を与えない食べ物を異物と勘違いし、免疫が過敏に反応することで様々な症状が現れる病気です。

原因となる食べ物を食べた後、皮膚症状(じんましん・かゆみ・赤みなど)や、呼吸器症状(咳・ゼーゼー・息苦しさなど)、消化器症状(嘔吐・腹痛・下痢など)が現れることがあります。

また、複数の臓器に急激なアレルギー症状が現れるアナフィラキシーを起こすこともあります。アナフィラキシーでは、血圧の低下や意識障害、呼吸困難などを伴い、命に関わる危険な状態になることがあるため、迅速な対応が必要です。

乳幼児では鶏卵・牛乳・小麦が原因となることが多く、成長とともに食べられるようになるケースも少なくありません。一方で、ピーナッツ・木の実類・甲殻類などは成人まで症状が続くこともあります。

食物アレルギーでは、原因食品を正しく診断し、必要最小限の食事制限を行うことが大切です。過度な除去はお子さまの成長や栄養面に影響することがあるため、症状や経過に合わせて適切に管理していきます。

子ども

食物アレルギーの原因となりやすい食品

消費者庁の「令和3年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究報告書」によれば、最も多いのが鶏卵で33.4%。その後に牛乳(18.6%)、木の実類(13.5%)、小麦(8.8%)と続きます。前回の同調査(2017年)では、鶏卵(34.7%)、牛乳(22.0%)、小麦(10.6%)、木の実類(8.2%)の順で、木の実類の割合が増えてきました。

食物アレルギー
食物アレルギー

食物アレルギーの症状

食物アレルギーの症状は、食べてから数分~2時間以内に現れることが多く、皮膚・消化器・呼吸器など全身に様々な症状が現れます。症状の程度には個人差があり、軽い症状から命に関わる重い症状までさまざまです。

皮膚:皮膚が赤くなる、蕁麻疹(じんましん)、かゆみ、熱感、湿疹

粘膜:目の充血、むくみ、かゆみ、まぶたの腫れ、鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、口・唇・舌の違和感、腫れ

呼吸器:喉の違和感、かゆみ、かすれ声、飲み込みが難しい、咳、ぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)、胸部圧迫感、呼吸困難

消化器:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便

神経:頭痛、活気の低下、眠気、不穏、意識障害、失禁

循環器:血圧の低下、頻脈、徐脈、不整脈、四肢冷感、蒼白

これらの症状は、1つだけあらわれる場合もあれば、複数の臓器にあらわれることもあります。アレルギー反応によって、複数の臓器に重い症状が急速にあらわれ、命を脅かしかねないものをアナフィラキシーといいます。アナフィラキシーのうち、血圧低下や意識障害などの症状があわさるものを、アナフィラキシーショックと呼び、特に注意が必要です。アナフィラキシーショックが現れた場合は、ためらわずに救急要請を行い、エピペン®を処方されている方は速やかに使用してください。

このような症状があればご相談ください

  • 食べ物を食べた後に、じんましんやかゆみが出る

  • 食後に唇やまぶたが腫れることがある

  • 食べるたびに咳やゼーゼー、息苦しさが現れる

  • 食後に嘔吐や腹痛、下痢を繰り返す

  • 特定の食べ物を食べると具合が悪くなる

  • 食物アレルギーかどうか調べたい

  • 自己判断で食事制限を続けている

  • エピペン®が必要か相談したい

  • 学校生活管理指導表の作成を希望している

食物アレルギーが疑われる場合は、自己判断で食品を除去せず、まずはご相談ください。 症状や経過を丁寧に確認し、必要に応じて検査を行いながら適切に診断・治療を進めます。

食物アレルギーの診断・検査

食物アレルギーを疑う場合は、下記のような問診、検査を行い、原因となる食物を見つけていきます。

問診

食物アレルギーの診断をするうえで重要な材料になるのは、患者さんの普段の生活行動です。

具体的には、職業、アレルギーを起こす前に摂取した食物、動物の飼育の有無、最近引っ越しやリフォームなどを行なったか、生活環境の変化、家族に同じアレルギー体質の方がいないか、これまでの病気の既往歴、服薬歴などの問診です。

こうした患者さんの情報は、多いほど診断の補助として役立ちます。

血中抗原特異的IgE抗体検査

現在、血中抗原特異的IgE抗体検査では、200種類ほどのアレルギー誘発物質の検査が可能です。

何にアレルギーがあるかなんとなく分かっているときや、特定の物質だけを詳しく確かめたいときに行います。

※血液検査については、陽性であっても摂取できることや、検査値が低い場合でも摂取できないことがありますので、注意が必要です。診察で確認した食品の摂取状況と合わせて、可否の判断をしていきます。

View39検査

一度の少量の採血で、吸入系(スギ、ダニ、ハウスダストなど)19項目と食物系(卵、牛乳、小麦など)20項目の計39種類を同時に測定することができる検査です。
原因は分からないが蕁麻疹やアナフィラキシーが出るなど食物アレルゲンを幅広く調べる時などに利用します。
※血液検査については、陽性であっても摂取できることや、検査値が低い場合でも摂取できないことがありますので、注意が必要です。診察で確認した食品の摂取状況と合わせて、可否の判断をしていきます。

食物除去試験

食物除去試験は、食物経乳児アトピー性皮膚炎での治療を行っているにもかかわらず、湿疹などの改善が思わしくない場合などに、特異的IgE抗体検査や皮膚プリックテストで陽性反応を示したアレルゲンに対して、そのアレルゲンを含む食物を7日間程度完全に除去する試験です。

この試験により湿疹が改善されたかどうかを検査していきます。

食物アレルギーの治療

食物アレルギーの治療では、原因となる食品を正しく診断し、必要最小限の食事制限を行うことが基本となります。

必要以上に食品を除去すると、栄養バランスやお子さまの成長に影響を及ぼすことがあるため、安全に食べられる量や食品を確認しながら、一人ひとりに合わせた治療を進めます。

必要最小限の食事制限

症状が出る食品や量には個人差があります。すべてを除去するのではなく、症状が現れない範囲を確認しながら、必要最小限の食事制限を行います。

定期的な評価・見直し

乳幼児の食物アレルギーは、成長とともに改善することがあります。そのため、定期的に診察や検査を行い、食事制限を続ける必要があるかを確認します。

薬による治療

症状が現れた際には、症状に応じて抗ヒスタミン薬などを使用します。また、アナフィラキシーを起こす危険性がある方には、緊急時に使用するエピペン®を処方することがあります。

エピペン®について

エピペン®は、食物アレルギーなどによるアナフィラキシーが起こった際に使用する、アドレナリン自己注射薬です。

アナフィラキシーは短時間で症状が急速に進行し、呼吸困難や血圧低下、意識障害など命に関わる状態になることがあります。エピペン®を速やかに使用することで、症状の悪化を抑え、救命につながることが期待できます。

エピペン®の対象となる方

アナフィラキシーを起こしたことがある方や、重いアレルギー症状を起こすリスクが高い方には、医師の判断によりエピペン®を処方します。

このような症状が現れたら使用します

次のような症状が現れた場合は、ためらわずにエピペン®を使用してください。

  • 息苦しい、ゼーゼーする

  • 声がかすれる、のどが締め付けられる

  • 繰り返し嘔吐する

  • 強い腹痛がある

  • 顔色が悪い、ぐったりしている

  • 意識がもうろうとしている

エピペン®を使用した後は

エピペン®は応急処置のためのお薬です。症状が改善した場合でも、使用後は必ず119番通報を行い、医療機関を受診してください。

学校生活管理指導表の作成

学校生活管理指導表は、食物アレルギーのあるお子さまが、学校・幼稚園・保育園で安全に生活するために、医師が作成する書類です。当院では、診察のうえ、お子さまの症状や治療状況に応じて学校生活管理指導表を作成しています。

原因食品や学校生活で必要な配慮、アナフィラキシーのリスク、エピペン®の必要性などを記載し、学校や保育園と情報を共有することで、適切な対応につなげます。学校や保育園で安心して生活できるよう、ご家庭とも相談しながら適切な内容を記載いたします。作成をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

食物アレルギー よくある質問

Q

食物アレルギーは治りますか?

A

食物アレルギーは、原因となる食品によって経過が異なります。鶏卵・牛乳・小麦などは、成長とともに食べられるようになるお子さまも多くいます。一方で、ピーナッツや木の実類などは長く続くこともあります。定期的に診察を受け、食べられるようになっているかを確認することが大切です。

Q

血液検査だけで食物アレルギーは診断できますか?

A

いいえ。血液検査は診断の参考になりますが、検査結果だけで食物アレルギーを診断することはできません。症状が現れた状況や食べた食品などを確認し、総合的に診断します。

Q

食物アレルギーが疑われる場合は、自己判断で除去した方がよいですか?

A

自己判断で食事制限を始めることはおすすめできません。必要以上の除去は栄養不足や成長に影響することがあります。まずは医療機関を受診し、原因食品を正しく診断することが大切です。

Q

少しなら食べても大丈夫ですか?

A

食べられる量には個人差があります。少量でも症状が出る方もいれば、ある程度食べられる方もいます。自己判断で試すのではなく、医師にご相談ください。

Q

学校生活管理指導表は作成してもらえますか?

A

はい。当院では、診察のうえ、お子さまの症状や治療内容に応じて学校生活管理指導表を作成しています。給食や学校生活で配慮が必要な場合は、お気軽にご相談ください。

Q

食物アレルギーは大人になってから発症することもありますか?

A

はい。食物アレルギーは乳幼児だけでなく、大人になってから発症することもあります。特に果物や甲殻類、小麦などが原因となることがあります。

参考文献
  • 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」

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執筆・監修
湯川医院 院長 田上 玲奈
  • 日本内科学会 総合内科専門医

  • 日本医師会 認定産業医

  • 認知症サポート医

本ページは、当院の診療方針および医学的知見に基づいて作成し、掲載内容は当院の医師が確認のうえ公開しています。

公開日:2026年10月1日​

最終更新日: 2026年10月1日​

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