いびき・睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。
一般的には、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が著しく弱くなる「低呼吸」が繰り返されることで、睡眠中に体内の酸素が不足し、眠りが浅くなります。そのため、十分な時間眠っていても疲れが取れず、日中の強い眠気や集中力の低下などが現れることがあります。
睡眠中に起こるため、ご本人では気づきにくく、ご家族から「いびきが大きい」「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘されて発見されることも少なくありません。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクが高まるほか、日中の眠気による仕事上のミスや交通事故につながる可能性があります。大きないびきや無呼吸を指摘された方、眠っても疲れが取れない方は、早めに検査を受けることが大切です。

このようなお悩みはありませんか?
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中だけでなく、日中の生活にもさまざまな影響を及ぼします。以下のような症状に心当たりがある方は、一度ご相談ください。
就寝中の症状
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大きないびきをかく
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寝ている間に呼吸が止まっていると指摘された
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息 苦しさで目が覚めることがある
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夜中に何度も目が覚める
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夜間に何度もトイレへ行く
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寝汗をかく
朝起きたときの症状
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十分寝ても疲れが取れない
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朝起きたときに頭痛がする
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口や喉が乾いている
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熟睡した感じがしない
日中の症状
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会議中やテレビを見ていると居眠りをしてしまう
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集中力や仕事の効率が低下した
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体がだるく、疲れやすい
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車の運転中に眠気を感じたことがある
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、大きく分けて「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」と「中枢性睡眠時無呼吸(CSA)」の2つのタイプがあります。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
睡眠時無呼吸症候群の約9割を占めるのが、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)です。
睡眠中は重力の影響で、軟口蓋、舌根、咽頭蓋が下がり、気道が狭くなりやすい状態です。
肥満による首まわりの脂肪の増加や、生まれつき顎が小さい(小顎症)、軟口蓋の位置が低い、扁桃肥大などが原因となり、睡眠中に上気道(空気 の通り道)が狭くなったり塞がれたりすることで、呼吸が止まったり浅くなったりします。

健康な人の気道
健康な場合は、空気の通り道があります。

睡眠時無呼吸症候群患者さんの気道
睡眠時に気道が狭くなり、時には気道が塞がり、呼吸ができなくなります。
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)
中枢性睡眠時無呼吸(CSA)は、気道が塞がるのではなく、脳の呼吸中枢から呼吸を促す指令が正常に送られなくなることで、無呼吸や低呼吸を繰り返すタイプです。
慢性心不全や脳血管障害(脳梗塞など)のある方にみられることがあり、閉塞性睡眠時無呼吸に比べると頻度は少ないとされています。
睡眠時無呼吸症候群を放置するとどうなる?
「いびきがうるさい」「睡眠中に呼吸が止まる」といった症状だけが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の問題ではありません。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、睡眠中に何度も呼吸が止まることで体内の酸素が不足し、心臓や血管に大きな負担がかかります。また、眠りが浅くなるため、十分な睡眠時間を確保していても疲れが取れず、日常生活にもさまざまな影響を及ぼします。
さらに、睡眠時無呼吸症候群は、生活の質(QOL)の低下だけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患の発症・悪化にも関係していることが分かっています。
日常生活への影響
睡眠の質が低下することで、日中の強い眠気や倦怠感、集中力・判断力の低下を招きます。その結果、仕事や学業のパフォーマンスが低下したり、居眠り運転や労働災害などの重大な事故につながる危険性があります。
生活習慣病の悪化
睡眠中の低酸素状態や自律神経の乱れにより、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を発症・悪化させることがあります。また、治療中であっても血圧や血糖値のコントロールが難しくなる場合があります。
心臓病・脳卒中のリスク
睡眠時無呼吸症候群は、心筋梗塞や狭心症、不整脈、心不全、脳卒中などの循環器疾患との関連が知られています。重症の場合には突然死のリスクが高まることも報告されており、早期発見・早期治療が重要です。
睡眠時無呼吸症候群の検査
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、睡眠中の呼吸や血液中の酸素濃度を測定す る検査を行います。
当院では、ご自宅で検査機器を装着して行う簡易検査を実施しています。入院の必要はなく、普段と同じ環境で眠りながら検査を受けることができます。
検査結果から睡眠時無呼吸症候群の有無や重症度を確認し、必要に応じて治療をご提案します。
簡易検査(自宅で実施)
ご自宅で小型の検査機器を装着し、一晩眠るだけで検査ができます。呼吸の状態や血液中の酸素濃度(SpO₂)、脈拍などを測定します。
翌日以降に機器をご返却いただき、解析結果をもとに診断します。

精密検査
簡易検査で詳しい評価が必要と判断された場合や、症状と検査結果が一致しない場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)をご案内することがあります。
PSG検査では、呼吸の状態に加え、脳波や心電図、眼球運動、筋電図などを測定し、睡眠の状態をより詳しく評価します。
AHI(無呼吸低呼吸指数)とは?
AHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)とは、睡眠中に1時間あたり何回、無呼吸または低呼吸が起こったかを示す数値です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度を判定する指標として広く用いられており、検査結果をもとに治療方針を決定します。
ただし、睡眠時無呼吸症候群の診断では、AHIだけでなく、日中の眠気や疲労感、いびき、睡眠中の無呼吸の有無、基礎疾患なども総合的に評価します。そ のため、AHIが軽度であっても症状が強い場合には治療をご提案することがあります。
AHIの判定基準
AHI(1時間あたりの回数)
重症度
5回未満
正常
5~15回未満
軽症
15~30回未満
中等症
30回以上
重症
睡眠時無呼吸症候群の治療
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、重症度や原因、患者さんの症状や生活スタイルに合わせて選択します。
治療の目的は、睡眠中の無呼吸や低呼吸を改善し、質の良い睡眠を取り戻すことです。また、日中の眠気や疲労感を軽減するだけでなく、高血圧や心臓病などの合併症を予防することにもつながります。
CPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)
中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群では、CPAP(シーパップ)療法が第一選択となることが多くあります。
就寝時に鼻へ装着したマスクから空気を送り込み、睡眠中に気道が塞がるのを防ぐことで、無呼吸や低呼吸を改善します。
CPAP療法を継続することで、日中の眠気や疲労感の改善だけでなく、生活習慣病や循環器疾患のリスク低減も期待できます。
●通院について
健康保険でCPAP療法を行うためには、月に1回の受診が必要です。
3割負担の場合、自己負担額は1ヶ月:約5,000円です。

マウスピース
軽症から中等症の方や、CPAP療法が難しい場合には、歯科で作製するマウスピース(口腔内装置)が適応となることがあります。
マウスピースは、下あごを前方に保持することで気道を広げ、睡眠中の無呼吸や低呼吸の改善を図る治療法です。
既製品ではなく、歯科医院で患者さんお一人おひとりのお口に合わせて作製します。マウスピース治療をご希望の方には、連携する歯科医院をご紹介いたします。
生活習慣病の改善
肥満や飲酒、喫煙などが睡眠時無呼吸症候群の原因となっている場合は、生活習慣の改善も重要です。
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適正体重の維持・減量
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禁煙
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就寝前の飲酒を控える
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横向きで寝る工夫
これらを行うことで、症状の改善が期待できる場合があります。
外科的治療
睡眠時無呼吸症候群の中には、顎の骨格や扁桃肥大、アデノイド肥大、鼻中隔のゆがみなどによって、空気の通り道(気道)が狭くなっていることが原因となっている場合があります。
このような場合には、原因となっている部位を手術で改善することで、症状の改善が期待できることがあります。当院では、外科的治療が適していると判断した際には、専門医療機関と連携し、適切な医療をご案内いたします。
治療の流れ
2
診察・検査
まずは現在の症状や睡眠の状態について詳しくお伺いします。
いびきや日中の眠気、ご家族から無呼吸を指摘されたことがあるかなどを確認し、必要に応じて既往歴や生活習慣についてもお聞きします。
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睡眠検査(簡易検査)
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は 、ご自宅で行える簡易検査を実施します。
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専用の検査機器がご自宅に宅急便で届きますので、お受け取りください。
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検査機器を装着して一晩眠ることで、睡眠中の呼吸状態や血液中の酸素濃度などを測定します。
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検査が終わりましたら、宅急便で検査機器を返送してください。
4
検査結果の説明
検査結果をもとに、睡眠時無呼吸症候群の有無や重症度を診断します。
AHI(無呼吸低呼吸指数)や症状を総合的に評価し、お一人おひとりに適した治療方針をご提案します。
5
治療開始
診断結果に応じて、CPAP療法やマウスピース(口腔内装置)、生活習慣の改善などの治療を開始します。CPAP療法を行う方には、機器の使い方や装着方法を丁寧にご説明し、安心して治療を始められるようサポートします。
6
定期受診・CPAP管理
CPAP療法は、継続して使用することで十分な効果が期待できる治療です。当院では定期的に受診いただき、CPAPの使用状況や治療効果、症状の改善状況を確認しながら、必要に応じて設定の調整や治療内容の見直しを行います。
※健康保険でCPAP療法を行うためには、月に1回の受診が必要です。
睡眠時無呼吸症候群 よくある質問
Q
いびきがあると必ず睡眠時無呼吸症候群ですか?
A
いいえ。いびきがあるからといって、必ずしも睡眠時無呼吸症候群とは限りません。
一方で、大きないびきや、ご家族から「睡眠中に呼吸が止まっている」と指摘された場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。気になる症状がある方は、一度ご相談ください。
Q
睡眠検査は入院が必要ですか?
A
当院では、ご自宅で行える簡易検査を実施しています。
ご自宅にて専用の検査機器を装着して一晩眠るだけで検査ができるため、入院は不要です。
Q
CPAP療法は一生続ける必要がありますか?。
A
CPAP療法は、睡眠中に気道が塞がるのを防ぎ、無呼吸や低呼吸を改善する治療です。すべての方が一生続けるわけではありませんが、多くの場合は継続的な治療が必要となります。
例えば、肥満が原因となっている方では、減量によって症状が改善し、CPAP療法を終了できる場合があります。また、原因となる病気の治療や外科手術によって、CPAPが不要になるケースもあります。
一方で、顎の骨格や加齢などが原因となっている場合は、長期間の治療が必要となることも少なくありません。
自己判断でCPAPの使用を中止すると、無呼吸が再び起こり、日中の眠気だけでなく、高血圧や心臓病などのリスクが高まる可能性があります。治療を継続するかどうかは、症状や検査結果を確認しながら、医師と相談のうえで判断することが大切です。
Q
CPAPは毎日使用する必要がありますか?
A
はい。CPAP療法は、毎日継続して使用することで十分な治療効果が期待できます。
使用時間が短かったり、使用しない日が続いたりすると、十分な効果が得られない場合があります。
Q
CPAPは保険適用になりますか?
A
一定の基準を満たした睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、保険診療でCPAP療法を受けられます。
適応の有無については、検査結果をもとに医師が判断します。
Q
女性でも睡眠時無呼吸症候群になりますか?
A
はい。男性に多い病気ですが、女性でも発症します。
Q
痩せていても睡眠時無呼吸症候群になりますか?
A
はい。睡眠時無呼吸症候群は、痩せている方でも発症することがあります。
肥満は代表的な原因の一つですが、顎が小さい、舌が大きい、気道が狭いなど、生まれつきの骨格や体の構造が原因となる場合もあります。
「痩せているから大丈夫」と思わず、いびきや日中の強い眠気、ご家族から無呼吸を指摘されたことがある方は、一度検査を受けることをおすすめします。
Q
睡眠時無呼吸症候群は運転免許に影響しますか?
A
睡眠時無呼吸症候群と診断されたことだけで、運転免許が取り消されたり、更新できなくなったりすることはありません。ただし、日中に強い眠気があり、安全な運転に支障をきたす場合は注意が必要です。実際に、睡眠時無呼吸症候群は居眠り運転による交通事故との関連も指摘されています。
適切な治療を継続することで眠気が改善し、多くの方が安心して日常生活や運転を続けています。
参考文献
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日本呼吸器学会監修『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』南江堂.

執筆・監修
湯川医院 院長 田上 玲奈
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日本内科学会 総合内科専門医
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日本医師会 認定産業医
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認知症サポート医
本ペー ジは、当院の診療方針および医学的知見に基づいて作成し、掲載内容は当院の医師が確認のうえ公開しています。
公開日:2026年10月1日
最終更新日: 2026年10月1日